初恋-はつこい-
そろそろ校舎内から

出る時間になった。


真由たちは

名残惜しい気持ちを抑えて、

3年間お世話になった

校舎をあとにした。


「寂しいね……」


杏奈の口から自然と言葉がもれる。


真由と花帆は静かに頷く。


そして3人横に並んで

校門へと歩いていく。


すると、

校門にもたれかかるように立つ

長身の影が目に映った。


その影は真由たちを見ると

向きを変え声を掛けた。


「菅野」


「こ、香坂君……」


真由と圭輔の視線が

ぶつかり合う。


二人の雰囲気を察して

杏奈と花帆は静かに

その場を去っていった。



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