初恋-はつこい-
練習教室は

公平にくじ引きで

決めることになっていた。


教室が書かれたくじが

小さな箱に入っている。


最初に木管楽器のリーダーが

各々くじを引いた。


そして金管楽器のリーダーの番。


真由は目をつむり

最初に手に当たったくじを選び手に取った。


ゆっくりとそのくじを開く。


「……!」


そこには

『3―1の教室』と書かれていた。


圭輔の教室だ。


もしかしたらパート練習中に

圭輔が教室へ来るかもしれない。


圭輔に会える確立が少し高まった嬉しさと、


また皆にどう思われるかという不安で

真由の心は複雑だった。


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