Sweet Life
ベッドサイドの灯りが菜摘を照らす。
菜摘の顔は真っ赤に。
菜摘を抱き寄せ
「い、嫌だったら」
離れようともがいてる。
「何で嫌?」
結構心が傷つくんですけど。
「だって」
「ん?」
「こ、此処…家じゃないんだよ」
「あ、あぁ」
それが何なんだ?
「と、隣の部屋に…人がいるんだよ」
「……」
それがどうかしたか?
「声…聞こえたら」
「ん?声」
「だ、だって夕べ…樹…わ、私が煩いって」
恥ずかしいのか俯いてしまった。
「あのな」
「もし聞こえたら私明日部屋から出れない」
「此処の壁、そんなに薄いとは思わないけど」
「で、でも」
「他にもカップルつうか夫婦とか泊まってんだろ。昨日のレストランの様子じゃ」
何組の客がいるかは知らないが二人連れが多かったと。
それに仮にも一流のオーベルジュとして有名なとこだ。
壁がベニヤで薄いなんてありえねえだろ。
菜摘を見ると
…マジみたいだ。
俺、夕べ煩いって言ったか?
ごちゃごちゃ喚いてたのを煩いと口を塞いだかも知れないが甘い声を煩いとは
「さっきも煩いって」
「あれはお前が奇声をあげたから。大丈夫だって。抱き合ってる時はそんなに煩くないから」
いやそれよりもっと声を聞かせてほしいくらいだ。