Sweet Life



「お前…何を言ってんの?」


何故か心底呆れたという顔をされた。


「えっ?だ、だって樹、旅行に行くんでしょう?」


「だから、何で俺一人で行くわけ?」


「えっ?」


「お前と一緒に行くに決まってんだろ」


「えっ?私も行けるの?」


「『私も行けるの?』って、だから俺一人で行ったって仕方ねえだろが」


「あ、そ、そうなんですか」


だ、だっていきなり言うから…


普通ね旅行に行くって何日か前から相談とかして決めるもんでしょ。


それが「明日から旅行行くぞ」なんだもん。


「ん?お前は行きたくないのか?」


う~目が怖いよ~



「行きたいです!旅行に」


「なら素直に喜べ」


「素直に喜べ」って…


「ん?」


「あ、いや。何処へ行くのかなって」


「内緒」


「えっ?」


「その方が楽しいだろう?」


ミステリーツアーってことかしらね。


まぁ、いいか。


「あ、もしかして」


「ん?」


「『銀の匙』とか?」


「残念!彼処には行かない」


「えっ?」


何で?


不思議に思って樹の顔を見ると


「彼処に行ったらお前を抱けないだろ」


「は、はぁ?」


「隣に聞こえるとか何とか」


た、確かにそんなことをいったような。


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