Sweet Life



鈍い頭と体を引き摺って朝御飯の支度をする。


コーヒーメーカーをセットしてサラダとベーコンエッグ。


食パンをトースターに入れて


「ん、いい匂いだ」


頭をタオルで拭きながら樹がキッチンへ


「菜摘、どこか具合悪いのか?」


樹が私の顔を覗きながら


「えっ?ううん、大丈夫だよ」


「なら、いいけど。いやに大人しいから」


「……」


「本当に大丈夫か?」


「うん」


いつもなら私が言い返すのに何も言わないから具合が悪いのかと思ってるんだ。


「用意できたから座って」


「あぁ」


樹の前にコーヒー、トーストにサラダ、ベーコンエッグを並べて


「いただきます」


樹は朝から食欲旺盛に食べている。


けど私はあまり食べたくない。


「食わないのか?」


「あ、ううん。食べるよ」


無理に口にほりこむ。


別に樹はいつもと一緒だ。


変な様子はない。


じゃあ女の人と一緒だったわけじゃなかったの。


それとも樹は大人だから例え疚しいことがあっても素振りには出さないんだろうか。


菜摘の馬鹿。


はっきり樹に聞けばいいのに。




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