Sweet Life



否応なしにお風呂場へ連れて来られ


「た、たつき~」


私の抗議の声も虚しく服を脱がされ、自分も脱いで気がつけばシャワーを掛けられて頭を洗われて背中まで洗われていた。


「前と顔は自分で洗えよ」


「ば、馬鹿」


あ~恥ずかしい。


急いで顔と体を洗い


えっ?


私の目の前にスポンジ


「背中流して」


「えっ?」


「前を洗えとは言わないから」


スポンジを取り


「馬鹿!」


背中をスポンジで洗う。


「お前なぁ、俺は教師だぞ。『馬鹿』とは何事だ。教師は敬え」


『敬え』と言われましても


「教師がこんなスケベでは」


小さな声で呟いたのが聞こえたのか


「あ~?誰が『スケベ』だって」


「……」


『樹が』なんて言ったらまた怒られそうだよね。


「俺はお前の旦那だぞ。何処がスケベだ。普通の夫婦の摂理だ」


『夫婦の摂理』なの?


「ん?」


「う、ううん」


シャワーで背中を流した。


――





樹の背中…広いな。


フフッ


「ん?」


樹の背中から抱き着いて


「何かね」


「ん?」


「こうしてると安心する」


「ん?」


「広くて大きくて」

「フッ」


前に回した私の手を握った。




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