Sweet Life
其の二
「忘れ物ないな?」
「うん」
「パスポート持ってんな」
「大丈夫だよ」
一応バックの中を確認する。
「うん。ちゃんと二冊入ってます」
「教科書と参考書は」
「……」
はぁ?教科書に参考書?
「あ、あの~勉強は」
「お前…丸々一週間勉強しないわけ?缶詰にはしないけどお前も受験生だよな。他のみんなは夏休みでも塾とかに行ってると思うけど…毎日ちょっとすつでもやった方がいいと。課題も出てたはずだし」
「……」
「ん?菜摘さん」
「分かりました。教科書持って行きます。でも全教科は無理。重量オーバーになる」
「数学と英語くらいでいい。英語は本場だし。国語、社会系はお前得意だから帰ってからでもいいだろ」
「はい」
部屋に行き英語と数学の教科書と課題プリントと参考書を。
あ~何処まで行っても数学さんは着いてくるのね。
数学教師と結婚した私の呪われた宿命だわ。
リビングに戻り鞄に詰めた。