Sweet Life
ピカデリー広場からトラガルファー広場へ
「って何で此処なんだよ?」
「えっ?トラガルファーだよ。ネルソン提督だよ。ナポレオンに勝利したイギリスの英雄だよ。それに」
「まだ何か?」
「エマとのラブロマンスも素敵じゃない」
「……」
まぁ、不倫だけど。
「お前さぁ」
「えっ?」
樹が頭を掻いて渋い顔をしている。
「それだけネルソンについて熱く語る半分、いや、四分の一でいいから数学に興味持ってもらえませんか?」
「……」
「ん?」
「う~ん、だってね、数学にはロマンがないもん。物語がないもん」
「……」
「何処見ても数字しかないもん」
「……」
「つまんないよ」
「はぁ~言った俺が馬鹿だった」
樹…何だか脱力したみたい。
な、何だか申し訳ない。
「た、樹」
樹の手に手を絡めて
「頑張ってみるから。何とか数学に興味持てるように頑張るから」
「……」
「ねっ」
「フッ」
私の頭を撫でて
「よし頑張れよ。俺も頑張るから」
「えっ?」
樹は何を頑張るんでしょう?
「お前が数学を好きになるように」
「……」
頑張らなくていいです。