Sweet Life
「じゃあ お父さん、菜摘と先に行きますから。お父さんは遅くても30分前には来て下さいよ」
「あぁ、分かった。気をつけてな」
「お父さん」
今さら『長々お世話になりました』はないけど
「ありがとうね」
「何だ?菜摘、気持ち悪いな」
『気持ち悪いな』って失礼な。
「ハハハ…冗談だ。菜摘」
「はい?」
「幸せにな」
「うん。私は幸せだよ。それにお父さん」
「うん?」
「菜摘は樹のお嫁さんになってもお父さんとお母さんの子だからね」
「そうだな」
「うん」
「さ、行きなさい」
「はい」
お父さんも目が赤くなりかけてる。
私もまずい。
「菜摘」
お母さんに促されて…家を出た。