Sweet Life
衛兵交代式が終わってレストランでお昼を食べ
「菜摘、次はロンドン塔でいいのか?」
「えっ?お父さんいいの?」
私は嬉しいけれどお義父さん、お義母さんは…
「菜摘ちゃん」
「はい」
「今日は菜摘ちゃんの行きたい所へ行こうって言ってるのよ」
「お義母さん」
「ね」
「はい。ありがとうございます」
樹を見ると
「フッ」
と笑い頭を撫でる。
私もそっと樹の手を握る。
――
―
ロンドン塔に着いて
此所に来たかったのは『悲劇の舞台』でもあるんだけど、一番はやっぱり『世界最大のダイヤモンド〈アフリカの星〉』よね。
やっぱり見たいもん。
『アフリカの星』を見てると
「お前もやっぱり女だな」
そりゃ女です。
「キラキラ目を輝かせて見とれてる」
「えっ?」
「やっぱり好きか?」
「フフフ…好きだって言えば買ってくれる?」
「さすがにこれは無理だ。教師の安月給じゃな」
どんなにお金持ちでも不可能でしょう。
国宝級なんだから。
「何かさ、身につけるダイヤって感じじゃなくて美術品だよね。指輪とかのダイヤとは別物だよ。現実味がない」
「そうだな」
「綺麗な物を見るのは好きだから見れて嬉しいけれど欲しいとかそんな次元の物じゃないよ」
「フッ だな」
また樹が手を繋いでくれた。
私にはその方が嬉しい。