Sweet Life



顔を洗い薄くメイクをして髪にブラシをかけて


「おまちどうさま」


「ん。…化粧したのか?」


「少しだけ。だってどよんでたから」


「…お前なぁ」


「はい?」


「嫌味か?俺が『どよんでる』つったから」


「ち、違うよ。鏡見て本当にそうだと思ったからだよ」


慌てて顔の前で手をブンブン振る。


「ま、いいか。菜摘」


「うん?」


「ローラに貰ったあのワンピース着ろ」


「えっ?」


「何でもいいから早く」


「あ、うん」


ワンピースに着替え


「これでいい?」


「ん。じゃあ行くぞ」


「あ、はい」


ホテルを出て


「ねぇ、何処に行くの?」


「お前が乗りたいって言ってたやつに乗せてやる。ちゃんと勉強したからな」


「えっ?…テームズ川クルージング?」


「あぁ」


「う、嬉しい。ありがとう」


樹に飛び付いた。


「俺は約束は守る男だ」


私の頭をポンポンと叩き


「行くぞ」


「うん」




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