Sweet Life
「なぁ、菜摘」
「うん?」
私は能天気に二個目のケーキに取り掛かっていた。
「お父さんな、4月に転勤なんだ」
「……」
へっ?
「て、転勤?って…お父さん」
「あぁ」
まぁ、お父さんの勤めてる会社は割りと大手だから日本のあちこちに支社がある。
「何処へ転勤?通えるの?それともまた単身赴任するの?」
私が中学生の頃、二年間名古屋に単身赴任していた。
「また名古屋?」
「いや、今度はちょっと遠くてな」
「関西?あ、九州とか?」
「イギリス」
「へっ?イギリスって…あのイギリス?」
私、何言ってんだろ。
「あぁ、海外のイギリスだ」
「そ、そうなんだ」
何年になるか分からないけれどお父さん一人で大丈夫かなぁ。
その時の私はまだ何にも分かっていなかった。