Sweet Life
「樹」
「旅館を出て行くお前が見えた」
樹が私の傍に来て
「ん、どうした?こんなに早く」
私の顔を覗き込んで
「目が腫れてる。寝られなかったのか?」
「……」
「ん?」
頬に触れようとした手を避ける。
「菜摘?」
樹の顔に戸惑いが浮かんでいる。
「……」
「菜摘」
「た、竹田先生…」
「ん?」
「ゆ、夕べ…竹田先生と」
「…見たのか?」
「……」
「フッ ヤキモチ妬き」
「だ、だって…ベタベタ」
「あ?ベタベタだと?竹田先生がベタベタしてたかも知れないが俺はしてないからな」
竹田先生はベタベタしてた?
俺はしてない?
い、いやそんな問題じゃないでしょうが。