Sweet Life
土曜日
お父さんは今日は休日出勤らしい。
私が起きたらもういなかった。
「お父さん…菜摘にすまないことしたって」
「もういいよ。私もごめんなさい」
「やっぱり一緒にイギリスへ行くのは嫌?」
お母さん…
寂しそうな顔してる。
お願いだからそんな顔しないでよ。
「やっぱり日本の大学がいい。だって後一年なんだよ、受験まで。だから大丈夫だよ、一人でも」
「火浦さんもいるしね」
「お、お母さん!」
顔が赤くなるじゃない。
「お母さんは…火浦さんもいることだし、菜摘を何が何でもイギリスに連れて行こうとは思ってないのよ」
「お母さん、ホント?」
「えぇ。ただ…お父さんがね」
確かに。
未だに私を小さい子扱いなんだから。
あれでよく樹と付き合うのを許してくれたわ。
「まぁ、お母さんからもお父さんに言ってみるから」
「うん、ありがとう。あ」
「どうしたの?」
「夕方に樹が迎えに来てくれるの」
「そうなの?」
「ゆ、夕べ連絡したから」
お母さんが悪戯っぽく笑い
「そりゃあんなに大泣きで電話されたらほっておけないわよね」
「えっ?」
「聞こえてたわよ、盛大な泣き声が」
「ハッハハハ…」
あ~恥ずかしい。