Sweet Life



「菜摘、どうしたの?」


「へっ?」


「顔が緩んでるけど」


『顔が緩んでる』って…いけない。樹のこと考えていた。


「ううん、なんでもないよ」


「そう?で、菜摘はどう思う?」


「何が?」


「鬼の彼女」


『鬼の彼女』って失礼ね。


「う~ん、きっと素敵な人なんじゃない?」


「えっ?何でそう思うの?」


いつの間にか部屋にいるみんなも興味津々に聞いている。


こんな所で『それは私だから』なんて…口が裂けても言えない。


「ほ、ほら『美女と野獣』とか言うじゃない。相反する者同士惹かれるとか」


ごめん、樹。


野獣扱いして。


「あ~そういうのもあるわね」


「そこ、いつまでぺちゃくちゃ喋ってんだ!もう授業始めるぞ」


キ、キャ~


声にならない悲鳴を心であげた。


何故なら…前には『鬼火浦』こと樹が仁王立ちしていたから。


次は…数学だったのね。




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