Sweet Life



「……」


「ど、何処で」


「タクシーを降りようとしたら…お前等がマンションの前で抱き合ってた」


「だ、だから抱き合ってなんか」


「お前がアイツから離れなかったら俺が引き離してた」


そう話す樹の目は眼鏡を外していても冷 たくて…


「マンションに入ろうとしたら杉下がしつこくインターホン鳴らしてるし…入る に入れないし…お前のことも気になるし」


「……」


「アイツはお前の家は7階の此処だと思ってる筈だし…応答あるわけないし… さっさと諦めろよと思ってたら…何か話し出した雰囲気で、お前が此処に居るん だと。何で此処にいるのか分かんなかったけどな」


「……」


「何で此処に?」


「……」


「…杉下が追っかけて来ると」


「ば、馬鹿なこと言わないでよ」


樹は…


「やっぱり疑ってんだね」


「菜摘?」


私の腕を掴もうとするのをはね除けて


「じ、自分が疚しいからって…一緒にしないでよ」






< 487 / 538 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop