Sweet Life
「……」
「ど、何処で」
「タクシーを降りようとしたら…お前等がマンションの前で抱き合ってた」
「だ、だから抱き合ってなんか」
「お前がアイツから離れなかったら俺が引き離してた」
そう話す樹の目は眼鏡を外していても冷 たくて…
「マンションに入ろうとしたら杉下がしつこくインターホン鳴らしてるし…入る に入れないし…お前のことも気になるし」
「……」
「アイツはお前の家は7階の此処だと思ってる筈だし…応答あるわけないし… さっさと諦めろよと思ってたら…何か話し出した雰囲気で、お前が此処に居るん だと。何で此処にいるのか分かんなかったけどな」
「……」
「何で此処に?」
「……」
「…杉下が追っかけて来ると」
「ば、馬鹿なこと言わないでよ」
樹は…
「やっぱり疑ってんだね」
「菜摘?」
私の腕を掴もうとするのをはね除けて
「じ、自分が疚しいからって…一緒にしないでよ」