Sweet Life
「…ヒック」
知らない間に涙が流れる。
泣きたくないのに。
樹の前で泣きたくない。
「菜摘」
抱き寄せようとするのを
「いや~」
自分の腕で自分を抱きしめる。
「いや~触らないで~ヒック…ヒック…」
「はぁ~いったいどうしたんだ?…夕べ 杉下に抱きしめられたのを思い出して怖 いのか?」
「ヒック…ヒック…」
何も話せずしゃくりあげることしか出来ない。
「菜摘…落ち着け」
腕を伸ばして…抱きしめられた、力一 杯。
「ヒック…ヒック…」
背中を擦って、髪を撫でている。