Sweet Life
漸く唇が離れ…
「菜摘」
「…何だか恥ずかしいね」
樹を見るのが照れ臭い。
樹は「フッ」と笑って
「帰ろうか?祖父さん達が心配する」
「フフ…そうだね」
夏だからまだ明るいけれど…辺りはいつの間にか夕方になろうとしている。
二人家に向かい歩みを進め…
「もう夏休みも終わりだね」
「そうだな」
「今年の夏休みは本当に色んなことがあったね」
「あぁ。だけど」
「うん?」
樹が私の肩に腕を回して
「夏休みだけじゃなくお前と出逢ってから本当に色んなことがあった」
「……」
ま、そりゃそうですけど。
「人をこれほどまでに愛しいと思ったのも初めてだし束縛したいと思ったのも初 めてだ。それから俺が嫉妬深い人間だって初めて知った」
「樹」
照れ笑いを浮かべている。