Sweet Life
「菜摘」
少し怯えている私を映した樹の瞳は何だか切なく
「ご、ごめんなさい。ごめんなさい。は、初めてだったから…ビ、ビックリしたの」
樹が外していた眼鏡をかけ
「フッ 分かってる。急ぎすぎた俺も悪い」
唇にそっとキスを零し
「いきなりしないから」
「えっ?」
「段階踏んでゆっくり…」
樹の言葉の意味が頭に入ってくると
「ば、馬鹿~」
何と恥ずかしいことを言うんでしょう。
「クククク…恥ずかしがることなんてない。数学だって初めは算数で数字を覚えて次に足し算、引き算それから掛け算、割り算だ。sexだって初めはキスからで」
「も、もういい!それ以上言わなくて」
樹の口を手で覆う。
そ、そんなsexに至るまでの過程を何で聞かされなきゃいけないのよ。
保体の授業じゃあるまいし。
ソファーから立ち上がり
「晩御飯の支度するね」
「フッ あぁ」
「何でもいい?」
「あぁ、食えるものなら」
「……」
めちゃめちゃ失礼だ。
アッカンベーをしてキッチンへ