Sweet Life
其の一
約束通り樹が朝御飯を作ってくれ(ま、トーストとハムエッグだけど)
さっさと済ませ家を出た。
車を走らせて
「ねぇ」
「ん?」
「お祖父ちゃん所に泊まらなくてもいいのかな」
「あぁ、『銀の匙』に泊まれって言ったのはじいさんだ。俺達への結婚祝いだって招待してくれた」
「あ、そうなんだ」
優しいのよね、お祖父ちゃん達
樹はお祖父ちゃん達に似なかったのね、残念なことに。
「ん?」
私がじっと見てたからか
「何だ?」
「あ、ううん、何でもない」
慌てて視線をそらす。
「ふ~ん。どうせくだらねえことでも考えてたんだろ」
「……」
「菜摘」
「は、はい」
樹の方に向くと
チュッ!
「た、樹」
唇 盗まれた。
「ち、ちゃんと前向いてよ。危ないじゃない」
「大丈夫だから」
「もう」
周りにも車は走ってるんだよ。
見られたらどうすんのよ。
「クククク…お前 真っ赤」
「し、知りません」