Sweet Life
「分かってる。お前の気持ちは」
「樹…」
「だけど…面白くない」
「……」
そ、そんなことを言われても。
「とにかく注意しろよ」
「……」
「アイツと二人きりには絶対なるなよ」
「……」
「いいな、分かったな」
「う、うん。だけど」
「ん?」
またまた怖い視線が降ってきた。
「い、いや、ちょっと心配しすぎじゃない?」
「はぁ~お前は危機感なさすぎ。男なんてな、隙あらばって」
「それを樹が言うの?」
「……」
「樹だって…」
「俺はいいんだ、分別のある大人だしな」
『分別のある大人だし』って…分別のある大人が教え子と高校生と結婚する?
「ん?何だ、その顔は」
へっ?
「ううん、何でもないです」
「……」
「ほんとだって」
また樹の腕に腕を絡ませて
「行こうか?」
歩き出そうとすると引っ張られて
「菜摘」
「はい?」
「俺が好きか?」
「……」
何を…
樹の顔を見ると
凄く真剣で
「大好きだよ」
「嫉妬深くてもか?」
「それも樹だもん」
「フッ」
そっと抱きよせ
「菜摘」
あ~何か…凄い甘い声
や、ヤバイよ。
「俺が好きなら」
な、何?
「数学の成績、もうちょい上げてくれ」
「へっ?」
一瞬にしてその場で固まった。
樹を見ると片方の口角を上げニヤリと
あ、悪魔の微笑みだ。