Sweet Life(番外編)
「ん?何してんだ」
ベランダにいる私を見つけて。
「ほら一番星だよ」
「だな」
それだけですか?
「それがどうかした?」
「秋ねぇ」
「秋じゃなくても一番星は」
「いいの。秋はね物思う秋、何となくセンチメンタルになるのよ」
「お前がか」
「悪かったわね。私だって乙女なんだから」
いくら奥さんだと言ってもまだ高三だよ。
「で、その乙女は何を考えてんの」
「う~ん夜行列車に揺られて逃避行とか」
「誰と?」
「えっ?」
「誰と逃避行すんの?俺から逃げて」
い、いや、何だか怖いんですけど。
「だから想像の世界だって。何で愛する旦那様から逃げなきゃいけないのよ」
意味が分からないし。
「お前、小説家にでもなれば」
「あ、それいいかもね。本なんか出版して映画化されて一躍有名人。その時は広 報担当にしてあげる」
「はいはい。この楽天主義者。それよりいいもん買って来たぞ」
「何々?」
「秋限定コロッケ」
「キャ~何で早く言わないのよ。冷めるじゃない。さっ、食べよ食べよ」