114歳の美女
 「しにうま?」


 智也は言葉の意味がわからない。


 「死ぬほどうまいという事どす」
 「それって、映画の中のセリフですか」

 「ええ、ピザを食べている主役のダチ公のセリフ。生まれて初めてピザを食べたけど、このセリフ通りどしたわ」

 「生まれて初めてか」


 (114年生きて、ピザを食べるのが生まれて初めてとは。摩訶不思議な女性だ)


 智也は呆れながらときの顔を眺めていた。


 「お好み焼きの姉妹のような味か思いましたけど、全く別人の味どすな」

 「まあそうですね」

 「映画の中で面白い物がありましたら、また連れて行っておくれやす」

 「わかりました。いつでも言って下さい。それまでの繋ぎとしては何ですが、次は僕の行きたい所へお連れします」

 「行きたい所ってどこどすか」

 「それは、内緒です。また、電話をしますので、楽しみにして下さい」


 「どこやろか」
 「必ず、電話しますので」


 智也は話の成り行きにうまく乗じて、次の約束をした。





 
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