114歳の美女
 「それで、ここに来たのです」

 智也が『cafe昔々』に来た経緯をときに話した。


 「そうどしたか。何か用でも」
 「先日の約束を果たそうと思いまして」

 「ああ、あれどすか。うちは忘れてましたわ」


 (忘れてた・・・。僕が人生の勝負を賭けていると言うのに。ショック!大ショック!!気を取り直さないと・・・)

 智也は強引に、次の待ち合わせを取り決めようと思った。

 「今度の日曜日午前11時ごろ、八坂神社の前ではどうですか」
 「今度の日曜日いうたら、明後日どすな。


 八坂はんにでもお参りどすか」
 
 「行きたい所は別の場所です」
 
 「ミステリーデートどすか。それも、面白そうどすな」

 「良かった。ここに来た甲斐がありました。では、僕は仕事がありますので、これで失礼します」


 智也は大急ぎで帰って行った。





 
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