114歳の美女
 「走ったら駄目と言ったでしょう。言う事を聞かないからよ」


 母親が走って来て、子供を抱きかかえた。

 「うわあ~うわあ、うわあ~うっうっうっ」

 子供がなおも泣き続けている。

 その時、ガイドブックを開けながら、ひとりの旅人が大声を上げた。

 
 「大変よ。三年坂で転ぶと、地元の子供達の間では、3年で死ぬと信じられている。と、この記事に書かれているわ」


 「えっ、三年で死ぬ。まだ、6歳なのに10歳も生きられないの。本当なの」


 母親が青い顔をして言った。


 「迷信よ」
 「本当の話みたいよ」


 「この坂で転ぶやなんて信じられない」


 大勢の野次馬が好き勝手な事を言い出した。





 
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