114歳の美女
 「しのぶはん、布団はあっちの部屋へ」


 ときがふとんを見てしのぶに言った。

 「いいえ、ここで」

 しのぶが首を振った。


 「えっ、ここで寝るつもりどすか。嫌やわあ。幾ら何でも」

 ときの顔から血の気が引いた。


 「姑から川の字で寝るように、きつくきつく命令されていますので。ただ、私は命令を守るだけです」


 (ここまで来たら、厚かましくいかんと。姑の過酷な注文には、到底答えられん)


 しのぶは腹をくくっていた。


 「川の字。殺生な」


 ときはうな垂れてしまった。



 「この部屋なら三つお布団を敷けます。文句があるなら姑に言って下さい」


 しのぶが強い口調で言った。









 
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