１１４歳の美女

　「これからは、川の字の真ん中が私の場所やから。わかったら、早く寝なさい」


　しのぶが命令口調で伝えた。


　「後生やから、星田はんと隣り合わせで寝かせて」


　ときが必死に両手を合わせた。
　

　「駄目」


　「これだけ頼んでも。見損なったわ、しのぶはんを。あんなに、あんなに信頼をしていたのに・・・ううううう」


　ときが泣きながら、憎しみを目に込めて、しのぶを見詰めた。
　凍るような視線が、しのぶの胸に突き刺さった。



　「もう、嫌！」



　叫ぶように、そう言うと、しのぶは急いで布団の中へ入った。そして、頭の上まですっぽり布団を被せた。