114歳の美女
 しのぶは辛かった。


 (限界・・・)


 (心を鬼にして来たけど、もう限界。お義母さん、助けて~~~)
 

 しのぶは心の中で叫び声を上げた。
 その時、ときの声が聞こえて来た。


 「鬼や。鬼や。鬼や。あんた等には、人間の気持ちが通ってへん。鬼や・・・」


 しのぶの耳には、ときの声がはっきりと聞こえて来た。


 幻聴。


 思わず、しのぶは両手で耳を塞いだ。


 (許して。許して。ときさん許して。こんな嫌な役目は、もう懲りごり。 家に帰りたい。家に帰らせて)


 その時、またときの声が。



 「見損なったわ、しのぶはんを。あんなに、あんなに信頼していたのに・・・ううううう」


 しのぶは両耳を指でしっかりと押さえた。





 
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