114歳の美女
 「それは、後のお楽しみ」


 しのぶは吉のと交代する事をときには言わなかった。



 おいしい手料理のお陰で、食事タイムは和気藹々、一家団欒。

 こうして朝、地獄から這い上がり、夜、地獄に逆戻りする毎日が始まった。


 月曜日。
 火曜日。
 水曜日

 そして、ついにしのぶが待ちに待った木曜日が来た。今週は引越し日が日曜日で、その日の宿泊はしのぶ。それで、交代するのは、予定の曜日より一日早い。


 「何も変わった事は無かったか」


 吉のは来るなり、しのぶを呼んで様子を窺った。


 「もう、地獄でしたわ。お義母はん、私をこの役目から外して下さい」

 しのぶが弱音を吐いた。


 「何を寝言を言うてるのや。もう、ちょっとの辛抱やから我慢しなはれ」
 「お義母さん、それはあんまりですわ。あ~あ」


 しのぶが業と大きな溜息を付いた。






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