114歳の美女
 「それはそうと、二人はどうや」


 吉のが二人の機嫌をしのぶに尋ねた。

 「ご機嫌斜めです」

 「新婚やから、仕方ないわな。あっ、そやそや、あの写真返してや」


 吉のが手を差し出した。


 「これ、威力ありましたわ」
 「そうか、良かったな」


 吉のは写真を自分の持ち物の中に仕舞い込み、ときに挨拶に行った。


 「ときはん。元気やったか。これから暫く厄介になるから、よろしくな」


 「あっ、お家はん・・・。厄介になるやて・・どういう意味どすか」

 ときはご機嫌斜めの様子。


 「深い意味はあれへん。後で、すぐに分かるから・・。ほな」

 
 吉のは急いで部屋を出て行った。


 「可笑しいなお家はん」


 ときは吉のの後ろ姿を、合点のいかぬ様子で見送っていた。



 「ご機嫌斜めや事」


 (大怖!おおこわ!逃げるが勝ちや)


 吉のは慌てて店の間に逃げ込んだ。





 
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