114歳の美女
 11時過ぎ。


 吉のが抜き足、差し足で奥の間へ。川に字の両端に二人が布団を被って寝ていた。

 (しめしめ、この隙に)

 吉のが電気を消し、真ん中の布団に滑り込もうとした。
 その時、智也の足を布団の上から踏んだ。


 「痛っ!」


 智也が足を踏まれた痛みで目を覚ました。


 (くたばりぞこないの婆め。足まで踏み上がって。足を踏みたいのは、こっちの方だ。早く寝ろ)


 智也が心の中で罵声を上げた。


 「ご免やしておくれやす。暗かったもんで」


 吉のが謝りながら、布団の中に滑り込んだ。

 (寝たらこっちの勝ち。はよ、寝よ)

 吉のはすぐに寝息を立てて眠り出した。





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