114歳の美女
 智也は不愉快な家を後にして、逃げるように役所に出勤をした。


 智也が自分の席で仕事をしていると、課長の古田が近付いて来た。


 「結婚したんやて」


 古田がにやにやしながら声を掛けた。

 「課長、どうして」


 「市民課の同期から聞いたよ。籍を入れたんやろ。あの、114歳の超美人を」

 
 古田は地獄耳だ。
 ときを籍に入れた事をもう知っている。


 「あっ、ああ。ただ、籍を入れただけですから、内緒にしていたんですよ」


 「あれだけの美人やったら、114歳、いや150歳でも、結婚したやろな、俺なら。それにしても、ええなあ」

 「大した事ないですよ」


 智也が白けた顔で言った。


 「余り嬉しそうやないけど、何かあったんか」


 古田は興味津々。

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