114歳の美女
 朝。


 智也は目が覚めた。
 頭の芯が痛い。
 智也がぼんやりと周りの風景を眺めた。


 「いつもと違う」


 「ここは、どこだ」


 隣に誰かいる。


 「あっ、花香だ」

 智也は必死で、記憶を手繰り寄せた。


 (『花簪』に行ったまでは、はっきりと覚えている。それからは・・・。花香と客の話。確か、野球とサッカーの話題だった)


 その辺りからが、曖昧だった。

 (どこかの家に運ばれ、水を飲んだ。それに。それにだ。誰かを抱いたような気がする。えっ、あれは花香だったのか。俺とした事が。沈む~。気持ちは沈没)


 花香はすやすや眠っている。
 寝顔が、殺したいほど可愛い。


 時間は午前8時30分。


 「いけない。遅刻だ」


 手帳の切れ端に伝言を書くと、智也は花香のマンションを急いで出た。




 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。また、必ず謝りにお店に行きます。

                 星田




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