114歳の美女
 智也がメモ用紙を見た。そこには、次のような走り書きが。



 今日は早仕舞いにしますので 11時頃にまたお越しやす



 智也がメモに目を通した。そして、花香を見た。花香の目は、答えを待っている。

 ともやがこっくりと頷いた。花香の目が色っぽく笑った。

 智也は何も無いような顔をして、店を出た。アルバイトの女の子が、智也の後ろ姿に好奇な目を這わせた。


 智也は適当に時間を潰し、11時に『花簪』の前に来た。暖簾は、すでに下ろされていた。

 智也が格子戸を開けて中に入った。


 中には、花香がひとり、智也を待っていた。アルバイトの女の子は、もう帰ったみたいだった。





 
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