114歳の美女
 「この写真は、いつの間に・・・」


 智也が写真を熱心に見ている。酒の酔いは、余りの驚きで吹っ飛んでいる。


 「お前等が、あほな事、画策するからと違うのか。悪いのは、俺やのうて、お前等や。こんな事されたら、男やったら誰でも、浮気の一つ位するやろ」


 証拠を突きつけられて、智也が開き直った。


 「母親の遺言を守ると言うた男が、これ位で浮気か。見損のうたわ」


 ときが憎しみの目で智也を見た。


 「俺は絶対に、絶対に離婚なんか、するもんか」


 「うちは明日、実家に帰りますから」
 「ええっ、そんなあ・・・」


 「俺が悪かった。許してくれ」


 智也はときの怒りの大きさを思い知らされた。


 「許してくれ。許してくれ。お願いだから、許してくれ」



 智也が頭を畳に擦り付けてときに侘びた。





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