114歳の美女
 「あんた、気でも狂ったんか」


 ときの一言。


 智也が超イケメンの大学生を、果物ナイフで刺そうとした時、マスターが腕を摑んで止めに入った。


 大学生達が表に逃げ出した。


 「やめんかい」


 ときのどすのある声を聞いて、智也がへなへなとうな垂れた。マスターが腕を放して、急いで表へ。

 表の大学生と、マスターは何やら話して、その場を穏便に収めた。


 「呆れた人やな。マスターが止めに入らんかったら、もうちょっとで殺人者どすわ。うちがあんたの女房。それは、先日までの事。今は違う。うちが何しようと、うちの勝手どす。ほうっといて」


 ときが智也に向って毅然と言った。


 智也に反論する気力は、全く残っていなかった。
 今の智也には、世界中の男が恋敵に思えた。


 『昔昔』のマスター。超イケメンの大学生。そして、課長の古田。

 
 智也は彼等3人に、胃がきりきりと痛むほど嫉妬をしていた。






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