114歳の美女
 吉のの死、焼却までが、アッと言う間の出来事で、ときは涙を流す暇も無かった。



 父親に始まって、母親、兄の義道と松夫婦、甥の勝道と妻の吉の・・・。


 今までに大切な人を、ときはたくさん亡くして来た。



 葬式小町。

と、言われるほど、ときはこれまで、うわんうわんと泣き叫び思い切り涙を流した。



 思い切り泣けば、悲しみも流れて、ときの気持ちは、その後、スカッとしていた。

 今回は大違い。


 涙を流さない分だけ、悲しみが内に篭る。


 吉のはときにとって苦手な存在。でも、頼りとなる大きな大きな存在でもあった。


 母の死後。代代、お家はんが母親代わりになり、陰になり、日向になり、ときを守ってくれた。


 その精神的な支柱を、ときは失った。





 
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