114歳の美女
 こんな事言うたら変やけど、心残りはあんたの事どす。ほんまは、あんたを死ぬまで見守って上げたかった。

 実際、あんたが幾つまで生きるか、興味を持っていたのも事実。

 あんたの生き様を見たかった。あんたが死んで行く時の生き証人に成りたかった。村島家の行く末を見たかった。

 けど、あんたの命は、あての命より、ずっとずっと長い。もしかしたら永遠かも・・・。

 あんたの行く末を見届ける事は、いまのあてには叶わん。あてが死んだら、寛道としのぶはんに後は任せ。あの子たちには、あてからしっかり頼んでおくから。

 あてが心配なのは、その後の事。道也は東京の大学に行き、結婚もまだまだの状態。これから先の村島家が案じられてならん。

 けど、これも定め。

 とき。辛いかもわからんけど、命を大切にし。長く生きれば、長く生きるだけの幸福がきっとあるはずや。

 あてもあの世から、応援しているからな。

     心を鬼に・・・ 吉の








        


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