114歳の美女
 「どうしょう。どうしよう。でも、人違いかも」

 ときはそう考えると、携帯電話から俊介に電話を入れた。

 「・・・」

 俊介は電話に出ない。

 「やっぱり、俊介か。いや、まだ・・・。そうだ、テレビ局に・・・」

 ときは番組を放送していたテレビ局の報道部に電話を入れた。


 「家族の者ですが、少し確認したいのですが」
 「はい、何でしょうか」


 女性の職員が電話の応対に出た。


 「いま放送された日本橋の無差別殺人の中で、亡くなった方の名前を表示されましたね」
 ときは標準語で。


 「ええ、それが・・・」
 「中津俊介と言う名前が出てきたのですが、勤務先は分かりませんか」


 「勤務先ですね。ちょっと待って下さいね」


 「・・・」









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