114歳の美女
すり替え。
そんな考えを、智也は一度もした事がなかったからだ。
「そうや。例えば、先代に隠し子がおったと仮定して。ときが114年のいつかに死亡する。しかし、死亡届を出さなかった。いつの時点からか隠し子がときに成り済ます。これやったらこの話も成立するやろ」
「あり得ますね。でも、目的は何ですか」
「世間体や。格式を重んじる京都の旧家やったら充分考えられるやろ」
「世間体ですか。確かに、考えられますね。でも、本人である事が証明出来れば、どうですか」
「この推測は、無くなるな。でも、どうやって本人を確認するのや」
「それが問題ですね」
「DNA鑑定でも出来たら本人確認は簡単なんやけど」
「DNA鑑定」
時折、課長の古田は、智也が思い付かない事を閃く。