114歳の美女

 警察官は老婆の態度に、物事の重大さを感じ取った。
 

 「奥の部屋やな」
 

 そう言うと、警察官は奥の部屋に突進した。
 清二も急いで後に従った。
 
 警察官が勢い良く襖を開けた。
 
 「あっ!」
 
 警察官は毛布にくるまれている吉野武三を見て絶句した。
 清二も顔を覗かせて驚嘆した。
 

 布団には、一部ミイラ化した吉野武三が、無残な姿で寝かされていた。
 

 「勘が当たったわ。それにしても、こんな姿になってるとは。ああ恐ろしや。恐ろしや。何で、こんな事に・・・」


 清二は死体に向って思わず両手を合わせた。


 「いつからこんな状態になっているのや」


 警察官が老婆に問いただした。


 「それが・・・」
 「もう大分経っているやろ」

 「へえ・・・」


 老婆の口は重い。





 
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