114歳の美女
 「あかん。あかんで。絶対にあかんで。とんでもない話どす。そんな話、何が何でも潰さんと」


 吉のが語気に力を込めた。


 「私もこのお話を聞く前でしたから・・・」
 「相手はどこのどいつや」

 「何でも、市役所の星なんとかと言ってましたね」


 「星田か。あいつやったら、死んでもあかん。ときをお呼び。はよう!」


 「わ、わかりました。お義母さん」


 しのぶが慌ててときを呼びに行った。


 吉のは部屋の隅から隅を歩いては、溜息を付いていた。


 (婚約やて。よくもまあ、抜け抜けとそんな事が言えるもんやな。あんたは実の母親の遺言を忘れたんか。まさか、もう寝たんと違うやろな。それは無い。いや、わからんで。そんな事してみ~。承知せえへんからな。うち等の苦労も分からんと・・・。まだかいな。それにしても遅いな)


 吉のはときを待ちながらいらいらしていた。






 

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