114歳の美女
 しのぶがときを連れて吉のの部屋へ。

 「お義母さん、ときさんを連れて来ました」
 「お入り」

 二人は中へ入った。

 「お家はん、何か用事どすか」
 
 ときが神妙な顔付きで、吉のに声を掛けた。



 「婚約したと言うのは、本当か」
 


 吉のが単刀直入に言った。

 「婚約どすか。まだ、決まってまへん。今、考えている所どす」

 「それなら、やめなはれ」


 「何でどすか」
 「あんた、母親の遺言忘れたんか」


 「忘れてまへん。けど、結婚したかて・・・」
 

 「結婚したら子が出来る。男と女が一緒になったら、これが自然の形どす」
 
 「結婚したかて、子が無い人もいはりますぇ」
 

 ときは母親の遺言を、いつも心に銘記していた。が、子の無い結婚生活にも、憧れを捨てる事は出来なかった。



 吉のは腹立たしかった。






 
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