かくれんぼ、しよ?



◇◇◇ミク





どういうことなのか、わからない。



――道端でコロちゃんに会い、ついて行った。


そうしたら、大きな包丁を持ったカンノさんが小屋の中に入っていった。


なんだか普通の様子じゃなかったから、声はかけなかった。


話し声が聞こえたから、壁に耳を当てて、カンノさんとユウイチくんとマコトくんの会話をこっそり聞いていた。



何の話かはよくわからなかったけど……本当に、カンノさんは悪い人だったの?本当に、マコトくんはユウイチくんのことも傷付けたの?



……ほんとは、わかってる。きっと、どっちも本当。



だからわたしたちは、今、カンノさんから逃げている。


だからわたしは、マコトくんを、助けない。



「あいつ、ちゃんと追ってきてるよな?ミク、ごめんな、巻き込んで」


ユウイチくんが、走りながら言う。


考えごとをしていたわたしは、反応が少し遅れて、間抜けな声を出してしまった。


「えっ、あ、そうだね……多分」


ユウイチくんの方を見た。


「どうした?」と首を傾げて、視線を合わせられる。



……ユウイチくんは、信じていても大丈夫だよね?


カンノさんやマコトくんみたいに、裏切ったりしないよね?





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