かくれんぼ、しよ?





「う、嘘だよね?」


ユウイチくんは、何も言わない。


「ねえ、噓だよね!?」


つい、声を荒げてしまった。


ユウイチくんが、わたしから目を逸らしたまま、ゆっくりと口を開く。



「ユミが、言ったんだ……楽になりたいって」


そんな、うそでしょ、ほんとなの?



「だからおれがしてやった」


何も言うことができない。


「けど、後になって……ユミじゃなくて、ユミを傷付けるやつを殺せばよかったなって」


……そんなの、おかしいよ、ユウイチくん……。



「だからユミはおれを恨んでるかもしれない」


……だから、ユミちゃんが一番怖いんだね?


勝手に、涙が溢れてくる。なんでだろう。


ユミちゃんがかわいそうだからかな、ユウイチくんが人殺しだったからかな……。


言葉を発したくても、それは嗚咽になってしまう。



「ユミがおれのことを嫌いになってたらどうしようって、ずっと思ってた……だけどさ」


ユウイチくんが、わたしの方を見る。


その顔は、笑っている。



「おれの前に現れてくれたから……嬉しかったんだ」


ユウイチくん、それは、鬼だよ?


ユミちゃんじゃないよ?


ねえ、ユウイチくん……。



声にならない声を、心の中で呟く。



ユウイチくんには、届かない。





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