かくれんぼ、しよ?
「でも、それじゃあ、ミヅキ……ひとりぼっちになっちゃうでしょ?」
「おれが、一緒にいてやる!」
咄嗟に、口から言葉が出ていた。
けれどそれは、心底、思ったこと。
おれは、助けを求める人のことを……楽に、だなんて――もうしない。
「おにいちゃん……いいの?」
ミヅキが首を傾げる。
「当たり前だろ」
もう、悲しい思いも、苦しい思いも充分してきただろう。
ミヅキをひとりぼっちになんて、させない。
ユミへの罪滅ぼし――そんなのになるわけないけど、おれは、目の前のか弱い存在を守りたいと思った。
「ありがとう、おにいちゃん」
ミヅキの、屈託のない笑顔。
ミヅキは今まで何度、こんな風に笑えただろうか。
これからは、ずっと、こんな風に笑えるようになれるといい……そんなことを思いながら、ミヅキの頭をぽんと撫でた。
「じゃあね、おにいちゃん、ミヅキと一緒になろう?」
「一緒に……なる?」
『なる』?一緒に『いる』じゃないのか?
「うん、一緒になるの。いいよね、おにいちゃん」
ミヅキがおれの手を握り、楽しそうに笑う。
「あ、ああ、いいけど」
何のことだかわからないが、そんなに嬉しそうにされては、断る理由も見つからない。
「そっかあ!ありがとう!」
ミヅキが一層嬉しそうな表情を浮かべたところで――何だか、うまく立っていられなくなった。
「なんだ……これ」
体が言うことを聞かない。
……これで、何度目だろう。意識が闇の中に溶けていく。
「み、づき……?」
ふらつきながら、歪んだ視界の中になんとかミヅキを捉えた。
……そんなわけ、ないよな。
見間違いなんだ……きっと。
おれが最後に見たミヅキは、何とも形容し難い不気味な笑みを浮かべていた。