かくれんぼ、しよ?
◇◇◇カンノ
耳を澄ましても、足音が聞こえない。
あいつ、どこかに隠れたな。
……それにしても、感心したやつだ。
キリシマミクを守ろうとするだけではなく、自らを陥れようとしたマコトまで庇うとは。
しかし、あいつらの関係性は――はじめは深いように見えたが、一皮剥いてしまえばひどく浅くて、脆い。
そう、所詮人間とはそんなもの。
狂気を秘めて、異常さを隠し、いかに普通であるかを演じながら、馴れ合って生きていく。
ユウイチは気付いていないだけだ。
自らと、傍にいる人間の狂気に。
――まったく、吐き気がする。
他人を助けることなど、意味はないというのに。
だがいつか、おれのように……わかる日が来るだろう。
その過程を見てみたい気もするが――残念なことに、ユウイチは今からおれに殺されなければいけない。
さあ、どこに隠れやがった。
そろそろ終わりにしてやろう。
ふいに目に止まったのは、キイキイと軋みながら揺れる、扉。
……風は吹いていない。
やはりあいつを殺すのはつまらない。もう少しうまいところに隠れればいいものを。
扉を開き、平屋の中に入った。