かくれんぼ、しよ?





廊下を歩き、ひとつひとつ部屋の扉を開いていく。


そして、一番奥の部屋。


扉を開くと――見つけた。ユウイチだ。



……しかし、どういうことだ――


そこに横たわるユウイチは、もう息がないようにしか見えない。



サツキの仕業か?……いや、あいつがやるならもっと派手にやるはずだ。


ユウイチは、まるで眠っているように――しかし、確実に死んでいる。


自然死?持病?一体どんな理由でこんな風に死んだのか……。


血の一滴も流れていない。外傷は見当たらない。



傍に寄り、脈を確認するが、やはり無い。


……誰かにやられたのだろうか。


何にしても、また、二度目の鐘は鳴らなかった。


マコトだって、あそこまでサツキに気に入られているのだから、そろそろもう生きていはいないはず。



何故、人が死んでも鐘が鳴らない?



『鬼』として蘇ったサツキは、村そのものの記憶を変に覚えているようで、『誰かひとりが死ぬこと』、『二度目の鐘が鳴ること』を同時に起こるものだと――いや、起こらなければならないことだと思っている。


それなのに……どうして今日は。



……キリシマミクの存在だろうか。


あいつがサツキに魅入られていないのは、やはり――



――バタン!



扉が閉まった音で、思考が遮られた。


背後へ振り向いたが、誰もいない。



……なんだ、風か?


しかし、廊下に窓はなかったはずだ。


玄関の戸は閉めてきた。



何だかわからないが、そんなことより大きな疑問がある。


ユウイチの方へ向き直り、考え直そうと思ったが――



「おとうさん」



突然現れたミヅキによって、またも思考が遮られてしまった。




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