かくれんぼ、しよ?
咄嗟に振り返ったが、ミヅキはいない。
どういうことだ、何を考えている。
……おれが、嘘つき?おれがミヅキにいつ、嘘をついた。何を知っている。
「ぜーんぶ、知ってるんだよ、ミヅキは」
次に聞こえたのは、楽しげな声。
どこから聞こえてきたかはわからない。まるで全方位から聞こえたようだった。
ミヅキの声が、頭の中に反響する。
「おとうさんは知らないんだもんね?」
「――っ、何のことだ」
しつこく響く反響音に、頭痛を覚える。
頭が割れるような痛みだ。
「これのことだよ」
そう呟かれたかと思ったら、一瞬のうちに、目の前が闇に包まれた。
――闇が開けると、そこは……誰かの視点だった。
自分で体を動かすことができない。
やけに低い目線――これはもしかして、ミヅキの記憶か。
辺りは暗い、林の中。木かげから鐘のあるやぐらを見つめているようだ。
……いや、違う。
見つめているのは――おれと、サツキだ。
……これは、あの日の。
おれがサツキを、殺した日の記憶だ。
――ミヅキは、見ていたのか?
まさか、そんなわけ……ないはずだ。
視線の先で、おれとサツキが話している。
やがて、おれがサツキの首を絞める。
おれの記憶通りに、目の前の光景は終わった。
再び視界が闇に包まれて……重い瞼を、持ち上げた。