かくれんぼ、しよ?



◇◇◇ユウイチ





……なんだ、これ。


目を覚ますと、意識だけでふわふわと浮いている感覚。



おれ、死んだのか?



見下ろした先に、おれが倒れている。


マジかよ、やっぱり、死んだのか。



おれの傍に、もう一人、倒れている。


あれは……カンノ。



……カンノも、死んだのか……。



一体どうなっているんだろうか。


部屋を出ようとすると、地響きのような音が聞こえてきて、家が揺れだした。


浮いているおれには関係ないかもしれないが、慌てて家を出る。



外に出ると、まるで何かに引っ張られるような感覚を覚え、林の方へ向かった。


林の中に、人影。



……倒れているのは、マコトだ。


どうして、お前まで……。



願っても、マコトが動くことはない。



……みんな、死んでしまったのだろうか?



――ミクは?



そう思った途端、再び意識が引っ張られて、別の方向に向かう。



村のはずれの方まで行くと、そこには、生きているミクの姿があった。


――安心した。ミクは確かに生きている。



しかし、先ほどの地響きは続いていて、ミクは泣きそうになりながらコロを抱いて走っている。


ミクの向かう先にある家の屋根から、瓦が滑り落ちる。


危ない――そう思い向かったが、意識だけのおれには手を伸ばすこともできない。


結局、間一髪のところで、ミクは瓦を避けた。


そのまま走り続け、林の中に入っていく。




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